医学生の病理学の教書の選び方
病理学では
- 病気にかかったときに組織的にはどのような変化がおこるかという各論的知識
- いわゆる病態生理のような総論的知識
を学びます。
特に病態生理的な知識は臨床学の各論を学ぶときにとても役に立つのでしっかり勉強することをオススメしたいです。
教科書には文字ベースのものとアトラスがありますが、両方しっかり勉強するに相当の時間が必要す。
基本は文字ベースの教科書とそこに記載されているベーシックな画像をしっかり勉強していけば良いと思います。
ただし、実習で病理組織のスケッチが厳しい場合にはアトラスがあったほうが役に立つでしょう。
国試対策に関しては医学生向けの文字ベースの教科書なら国試に必要な画像は記載されているので、文字ベースの教科書が一冊あれば十分です。
むしろ、ビデオ講座で必要な病理画像は紹介されますので、国家試験対策に関してだけ言えば、病態生理に結びつく内容をしっかり勉強しておいたほうが、臓器別の科目の勉強に役立つでしょう。
・病態生理に関する知識を増やすと臓器別の知識の獲得に役立つ
各論に関して
病理学の各論というのは臓器別の病理画像ですが、大学によってどのように授業があるかは異なります。
筆者の大学では、病理学の試験では総論部分のみが試験範囲でした。各論範囲は、それぞれの臓器別の授業の際に一緒に試験範囲になるという感じでした。
もし、病理の試験で各論の範囲も試験範囲に含まれるのであれば、病気がみえるなどの教科書でざっくりとした病気の知識を獲得しておくのも良いかもしれません。
病理学の勉強に役立つWEBサイト
病理コア画像:デジタルノートの素材としても有用
病理コア画像という病理学会が作成してくれている病理画像集ページがとても便利です。
医学生レベルで見ておいてほしい画像にマークを付けてあり、勉強の際には参考になります。
このページをスクリーンショットして、ノートアプリに貼り付けることで便利に使えたりもします。
The University of Utah のサイト
The University of Utah によるWebサイトです。
英語が得意な人には使えるかも。
導入向き教科書
よくわかる病理学の基本と仕組み

この本のファロー四徴の説明が秀逸で大変記憶に残っています。結構おすすめです。ファロー四徴の説明だけでも一回見てみてください。病理学の全体像把握にもおすすめです。
こわいもの知らずの病理学講義
Amazonでの評価がとても高い1冊です。
病理学は形態学と病態生理が結びついたような学問なので、説明するひとによって書き方が全然違っていろいろと面白いと感じます。
管理人はまだ読んだことがない本ですが、いずれ読みたいと思っている本です。
大学での講義では用語の定義→実際の病理組織像という流れで講義が進んでいったので病理学に全く興味が持てなかったが、この本では実際の病気がどのような機序で成り立つのか?という観点で書かれており、大変理解しやすかった。
あくまでも一般の方々でも読めるように書かれた本であるので病理学のごく一部しか解説されていないが、この本の半分を割いてあるがんの話の部分は大変興味深かった。ところどころ雑談が入っているのも大変良かった。続編期待!amazonレビューより
▼Kindle版もあるので、お試しで最初の部分を読むこともできます。
「病理医が何をしているのか」ということを学べる1冊です。
章構成を見てもらえばわかるように、試験に出るような内容を扱った本ではありませんが、病理に興味のある人にはオススメの1冊です。
《目次》
第1章 病理診断を始める前に
第2章 病理の基本の見かたがわかる!
第3章 病理医への依頼のしかたがわかる!
第4章 病理診断結果レポートの読みかたがわかる!
第5章 君もマスターしてみよう! 病理診断のしかた
第6章 写真の撮りかた・プレゼンでの病理写真の出しかた
こちらの書籍はAmazonでサンプルページが公開されています。
▼Amazonへのリンク
医学生向き教科書
病態生理に関する知識を獲得するには、医学生レベルの教科書の総論部分を通読しておくのがおすすめです。
分厚い教科書でも、総論部分は量が少なく十分通読可能な量です。
標準病理学
基礎医学の教科書としてほとんどの部分をラインナップしてくれている教科書です。
ロビンス基礎病理学
かなり詳しく、しっかり勉強したい人にオススメの1冊です。
日本語訳が少しわかりにくい場所があるものの、使う分には支障がないくらいの感じです。
こちらの教科書は▼の教科書の日本語訳版。安いのも魅力。

日本語訳が分かりにくい点はマイナスでしたが内容はとても良いものでした。写真も多く、病態生理の基礎になる一冊です。
正常画像と比べてわかる病理アトラス
名前のとおり、正常組織との比較がわかりやすい1冊です。
肉眼所見もしっかり記載されており、疾患をイメージしやすい構成になっています。
こちらAmazonのページでサンプル画像がみれるので気になった人は見てみてください。
▼Amazonページへのリンク
フラジャイル
病理医がテーマの漫画です。
病理の勉強にはありませんが、主人公の病理医がすごくかっこいい。
これを読むと実習をサボらずにちゃんと顕微鏡覗こうかなと思ってしまう1冊です。
最初は頼りなかった宮崎先生という登場人物がたくましくなってく点も個人的には見どころです。
実習・試験で医学へのモチベーションを失いかけている医学生にも、ガンガン勉強している医学生にもオススメです。
詳しい教科書
カラー ルービン病理学
ロビンスと並ぶのがルービン。好みの問題ですね。
ロビンスはエッセンシャル版があるが、ルービンは成書版のみ。
しっかり改訂を重ねています。
Robbins&cotran Pathologic basis of Disease

ロビンスの親本です。英語は結構分かりやすく意外に読めます。英語の勉強にもとてもオススメな一冊。
Expert consultというWeb上やアプリ上でこの本を読むことができるシリアルコードが付属しています。
Expert Conmsultは英語ではありますが、医学書の内容をすべてオンライン上で閲覧・検索することのできる優れたシステムです。
Robbinsみたいな重い本を持ち歩くのは難しいですから助かりますね。
▼問題集があるのも特徴となっています。英語がわかりやすいのでUSMLEの勉強の第1歩とも呼ばれている本ですね。
アトラス
カラーアトラス 病理組織の見方と鑑別診断
病理のアトラスの代表的な1冊です。
2018年8月に最新版の6版が出版されています。見た目が改訂されてもほとんど変わっていません。
間違って古い方の版を購入しないように注意が必要です。

病理画像を集めたアトラス。アトラスという名前ながら、半分くらいのスペースは文章での説明になっている。病理学の教科書に比べ、総論的な部分は少ないです。
病理の実習が大変なら、あると便利でしょう。
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