出版社・著者の方へ

【マイナー科目の良書】まとめてみたシリーズのレビュー:イメージしやすい言葉でスピード理解

「まとめてみた」シリーズとは?

まとめてみたシリーズとは、マイナー科の医師国家試験対策本で、全てのシリーズを天沢ヒロ先生という単独の著者が執筆されている教科書です。

  • まとめてみた耳鼻咽喉科
  • まとめてみた精神科
  • まとめてみた皮膚科
  • まとめてみた眼科
  • まとめてみた泌尿器科
  • まとめてみた整形外科

というラインナップでマイナー科は全て網羅されています。

このシリーズを揃えると、マイナーを全部勉強出来るということです。

特徴

このシリーズの特徴は独学で勉強する際に役立つことをコンセプトに作成されています。

「専門書ほど詳しくないけれど、医学生が知っておきたいこと(国試や初期研修で使えること)だけをまとめる」

という筆者が考え始めたのが本書の始まりだそうです。

「まえがき」にも記されているのでこれを読めばどのような書籍かはイメージできると思います。

本書の特徴は

  • 薄く
  • 読みやすいく
  • 構成がよく
  • 要点がまとめられている

ことにあると思います。

ページ数としては約200Pで、40%くらいのページは医師国家試験の過去問とその解説、10%くらいのページは本文の要点のまとめページなので、実質100ページくらいにまとまっています。これほど、薄いページにその科目の要点をまとめた書籍は他にないと思います。

本文はです・ます調の講義を受けている様な感じです(よくある国試対策本のような羅列ではない!)。

たまに雑談のようで役に立つエピソードも散りばめられており、非常に記憶に残りやすいです。

構成も非常に分かりやすい構成で科目ごとに分かりやすい構成になっています。

例えば、「まとめてみた耳鼻咽喉科」では「耳は疾患、鼻は症状、口は病態」で整理されており、「まとめてみた眼科」では解剖(組織)に注目してまとめてあり、「まとめてみた整形外科」では解剖+疫学(性別・年齢)でまとめてあり、筆者の工夫が現れています。

 

書籍情報

まえがきがこの本の特徴をよく表してくれているので、ここに引用しておきます。

筆者の天沢ヒロ先生は現在の国試の勉強法もしっかり理解された上で本書をかかれていることが分かります。

まえがき

学生時代に常々感じていたのは「もっと読みやすい参考書があればな~」ということでした.今の医学生の国家試験の勉強方法としては,ビデオ講座+教科書+問題集というのが主流ですよね.しかし,受験のように独学でも勉強したい!と思ったときに,一気にハードルが上がってしまうことに気がつきました.専門書はある程度全体を理解してから読むと面白いのですが,初学の場合または国試だけを考えるとオーバーワークになりがちです.
そんなときに「専門書ほど詳しくないけれど,医学生が知っておきたいこと(国試や臨床研修で使えること)だけをまとめたら面白いのでは?」と考えたのが本書のはじまりです.
臨床ではAの場合もある,Bの場合もある,Cの場合もあるという例外的なことに驚くばかりですが,基本を知らなければなにが例外なのかも分かりません.著者個人の意見ですが,医学生はまず基本を完璧にすることが重要だと考えています.これは受験のときも同様でしたが,基本を疎かにして応用問題(臨床)を解くことは不可能だと考えるためです.基礎をしっかり固めることでどんな問題にも応用をきかせる能力を身につける,ということに重点を置いて本書を作成しました.
ただし,(どんな本でもそうですが),1冊だけですべてを網羅することは不可能です.「もっと詳しい内容を知りたい!」という方は,「標準シリーズ」(医学書院刊)などを参照するとよいでしょう.詳しすぎる内容は本書のコンセプトから外れてしまうため,あえて割愛しているところもあります(ただし,国試の範囲を網羅するには十分な内容になっています).
マイナー科目は国試全体の20~30%程度を占めますが,年々難しくなってきている内科に比べて差がつきやすく,合否に大きく直結する重要な科目になります.4問に1問はマイナーから出題されると考えたときに,それらに対して自信をもって解けるというのは大きな差ですよね.「マイナーか…勉強不足だ~」と思うよりも「マイナーきた! 差をつけられる」と思えることで,どれほど本番を楽にできるでしょうか.
また,実際の国試の問題とその解法についても本書で学習できるようにしました.問題に対する思考プロセスをなぞることによって,自ずと解けるようになっていることにびっくりするでしょう.最初は難しく感じるかと思いますが,慣れてくれば非常に応用のきく解き方になっています.有機的に知識がつながる感覚を,ぜひ皆さんも体験してみてください.何度も解き直すことにより,その威力を実感できると思います.
また,章の分け方も著者オリジナルに設定しました.章ごとに記憶しておくことにより,頭の中で整理することがやさしくなるように工夫しました.皆さんの理解に少しでも貢献できればと願っております.

2015年5月
天沢ヒロ

出版元サイトより引用

ざっくり5段階評価

最初は管理人による評価です。レビューが増えればそれを反映していきます。

詳しさ    ☆☆☆3
わかりやすさ ☆☆☆☆☆5
図の多さ   ☆☆☆3
工夫     ☆☆☆☆☆5

総合評価   ☆☆☆☆☆5

 

長所

  • です・ます調の語り口で非常に読みやすい。
  • 薄く分量も少ないので、短い時間で1周でき、何周もできる分量。
  • 病態生理も必要に応じて説明されている。
  • 「要点は〇〇といえば3つ」のようにまとめられており、要点は3つ以内に抑えられていることが多く、覚えやすい。
  • 章の終わりにはチェック問題があり、その章の要点が赤シートで隠すと問題になるように20問程度の穴埋めでまとめられている。(赤シートも付属)
  • 本書の一番最後には”検査・治療のまとめ”があり、検査・治療ごとの共通疾患がまとめられており、横切りの知識が得られる。
  • ”キーワード”というまとめも最後についており、国家試験におけるキーワードもまとめられている。
  • 疾患ごとのまとめもある。この項目はレビューブックのようなまとめ方で、原因・症状・検査・治療がまとめられている。

 

短所

  • 1冊3000円ほどなので全て揃えると、そこそこのお値段に。
  • これだけで全てを網羅できるような詳しさは無い。(もともと詳しさを求めた本でもないです。)

読んだ人の感想

Twitter上での評判もかなりいいですね。

ライバル本

レビューブックマイナー

レビューブックの方が

  • 箇条書きだが、コンパクト
  • 1冊にまとまっているのはレビューブックの強みか

こんな人におすすめ

・国試、CBTに向けて時間がなく、短時間で点数を取りたい人

・マイナー科の導入に、ざっくりとした知識を入れたい人。

 

管理人
管理人

管理人はマイナー科を学ぶ前に、このまとめてみたシリーズでざっくりと知識を入れて勉強しました。その結果、全体像を早く掴むことができ勉強がやりやすかったです。メジャー科目も作って欲しいくらいでした。

▼関連本 マッチング対策のものも出ています。

都会のマッチングはどんどん厳しくなっているので、こういった本で早めに取り掛かるのは重要です。お礼メールの送り方など具体的で結構役に立ちましたよ!!

ちなみに、シリーズ本もあります。

実は、天沢ヒロ先生のシリーズ本はマイナー科目以外にもあります。

これらは主に研修医レベルを対象にした本になります。

天沢先生の書かれる本がわかりやすい理由はターゲットを絞って書かれているからではないでしょうか。そんな気がしてくるラインナップです。

できる救急外来:カルテを使えばうまくいく

こちらは救急外来用の本です。

この主訴に対してこの所見をとって、カルテに記載しておくべしという内容になっております。

実習でカルテを書いて患者さんを見る機会のある医学生を除いては医学生時代に読んでも試験に役立つことは少ないです。鑑別診断という意味では役に立ちますが、試験ベースではなく、臨床ベースの本になるので、頻度の高い疾患と危険な疾患ベースという意味で試験向きではありません。

抗菌薬シリーズ

研修医の壁の人一つである抗菌薬を2冊に分けて解説してくれている本です。

医学生でも「わかる抗菌薬」は役立ちそうです。

国家試験でも徐々に抗菌薬の問題が増加傾向にある気もします。(111回あたりから)

直前期にすべきではありませんが、時間のある時期であれば手を出すのも戦略「あり」かもしれませんね。

レビューの投稿・コメント

タイトルとURLをコピーしました