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医学生の細胞生物学の教科書の選び方と勉強の方法
高校で生物以外を選択していた人
細胞生物学は高校で生物を取っていなかった医学生にとっては、初めて学ぶ生物学となります。
そのため、最初から難しい本を読むよりは、まずは簡単な教科書で全体の雰囲気を知ることをおすすめします。全体像を把握しないと勉強の効率がかなり悪いです。
正直、細胞生物学をサボっても、低学年のうちは困らないですが、臨床の講義やそれ以降の細かな機序が出てきた際に困ることになるので、ある程度はしっかり勉強しきたい科目です。
最初はとにかくイメージがつかみにくいと思いますので、動画なども使ってしっかり理解していきたいところです。
この記事の最後に分子生物学の勉強に役立つ動画も載せておくので、是非活用してみてください。
高校で生物選択の人
高校で生物を選択していた人にとっては大学の講義の内容の大まかな内容は理解できているはずです。
おそらく細胞生物学を勉強する間は多少の余裕の出る人もいるかと思います。
医学生生活はだんだん忙しくなっていくので、余裕のあるうちに先取りするのも1つの戦略かと思います。
ここでおすすめしたいのが、人体の正常構造と機能という教科書です。
基礎医学分野で学ぶいろいろな科目が一気にまとめられています。しかもかなりわかりやすい書き方で優秀な教科書です。

大学によっては黒本と呼ばれ、全員購入の必携の書となっている場合もあるとか。
値段が2万円近く、高額なのですぐに購入の決断はできないかと思いますが、この本はずっと使えると言っても過言ではない内容なので、ぜひ早い段階で購入しておくことをおすすめします。
→人体の正常構造と機能については筆者のもう一つのサイトでおすすめ記事を作成しました。
https://digista.net/2017/12/07/おすすめの教科書:人体の正常構造と機能のレビ/
以上のことから、
大学から生物学を学ぶ人→導入向きの教科書で全体像を把握+Essential細胞生物学
生物選択者→Essential細胞生物学+人体の正常構造と機能
をオススメします。
動画でイメージを作る
コチラの記事でも紹介しているのですが、Youtubeを利用してイメージを掴むと勉強がしやすくなります。
管理人がわかりやすいと思ったものを紹介しておきます。
教科書についてはこの下にあります。
▼細胞内についてざっくりと:生物選択者以外におすすめ
▼タンパク質の合成について
▼セントラルドグマについて:ロボットみたいでかっこいい感じです。セントラルドグマの過程はイメージしづらいのでこの動画が大変おすすめです。

導入向き教科書
カラー図解 アメリカ版大学生物学の教科書
生物学を初めて学ぶのに優れた構成になっています。文章の書き方も教科書というより読み物に近い本で、サイズも文庫本サイズです。
生物学の分野ごとに巻が分かれているので、体系的に生物学が理解できます。
難点は、全て読むには時間がかかる点です。大学から生物学を学び始めた学生にオススメです。
3巻までが医学部における細胞分子生物学の範囲になります。教養という意味では4,5巻も読むと良いかもしれません。

アメリカ版とありますが、日本の内容と特に差はないので大丈夫です。管理人も医学部1年生のときにさっと読みました。
第一巻:細胞生物学
第一巻は細胞生物学を学びます。
細胞生物学とは、細胞1個に注目してその細胞の中でどの様な活動が行われているかを学ぶ分野です。
目次はこんな感じです。
第1章 細胞:生命の機能単位(細胞はどのような性質を持つために生命の基本単位となっているのだろうか?;原核細胞の特徴は何か? ほか)
第2章 ダイナミックな細胞膜(生体膜の構造はどうなっているか?;細胞膜はどのように細胞接着・細胞認識に関わっているのだろうか? ほか)
第3章 エネルギー、酵素、代謝(生物学的なエネルギー変換の基礎となる物理法則はどのようなものだろうか?;生化学のエネルギー学におけるATPの役割は何か? ほか)
第4章 化学エネルギーを獲得する経路(どのようにしてグルコースの酸化から化学エネルギーが放出されるのだろうか?;グルコース代謝の好気的経路 ほか)
第5章 光合成:日光からのエネルギー(光合成とは何か?;どのようにして光合成は光エネルギーを化学エネルギーに変換するのだろうか? ほか)より引用 ブルーバックス カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書〈第1巻〉細胞生物学MIT(マサチューセッツ工科大学)を始めとするアメリカの各大学で採用される世界基準の生物学の教科書。

目次から疑問文で理解すべき項目が提示されて、わかりやすい本であることがつたわってきませんか?
▼Amazonの商品説明画像で本の中が一部見れるようになっていました。ぜひ一度見てみてください。
第二巻:分子遺伝学
染色体やメンデルの法則、DNAやタンパク質の合成まで学びます。
遺伝学というものも基礎医学の科目の中にありますが、その基礎を知れる1冊です。管理人の大学では、この部分も細胞分子生物学の試験範囲になっていました。
遺伝の範囲は遺伝病の観点からも理解しておかないと後々苦労する分野になってきます。
▼目次はこんな感じです。
第6章 染色体、細胞周期および細胞分裂
第7章 遺伝学―メンデルとその後
第8章 DNAと遺伝におけるその役割
第9章 DNAからタンパク質、遺伝子型から表現型まで
第10章 ウイルスと原核生物の遺伝学
第11章 真核生物のゲノムと遺伝子発現https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784062576734より引用
▼Amazonの商品説明画像で本の中が一部見れるようになっていました。ぜひ一度見てみてください。
第三巻:分子生物学
ここからの内容は、基礎医学の発生学、免疫学の内容と少し重なってきますが、基礎医学の全体像を知っておくのは大きなメリットになります。
免疫・発生学の先取りとして読んでおくと役に立つ内容です。
臨床医学の分野では、自己免疫疾患や感染症の分野に関連してくる内容です。
第12章 細胞の情報伝達
第13章 組換えDNA技術とバイオテクノロジー
第14章 分子生物学、ゲノムプロジェクト、医学
第15章 免疫:遺伝子と生体防御システム
第16章 発生における特異的遺伝子発現
第17章 発生と進化による変化
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第四巻・五巻
第四巻と五巻は医学部で使用する生物学の範囲を超えているので、生物学にかなり興味にある人以外は読まなくても大丈夫です。
休み時間の生物学
易しい書き方かつ薄い本で生物学全体を把握できます。
大学生物学の教科書よりも、少ない時間で読めるので勉強量を増やしたくない方はこちら。
生物学の全体像を把握したほうが間違いなく効率よく基礎医学の勉強が進むので、このくらいでも読んで置くと全然ちがうはずです。
▼Amazonで中身を少し読める仕様でしたので、覗いてみてください。
医学生向きの細胞分子生物学の教科書
医学生向きの細胞分子生物学の教科書はいくつかあり、管理人もいろいろ読んでは見ましたが、圧倒的1強の教科書があるのであえて他の教科書を使う理由もなさそうです。
その1強の教科書がこちら細胞の分子生物学です。
Essential細胞生物学
この本で間違いないと思います。
この本は下で紹介する細胞の分子生物学の重要な点をまとめたEssential版という位置づけですが、内容としてはこれで十分です。むしろ十分すぎるという内容です。
860ページほどあり、通読するのは結構大変です。この本を通読するのが大変だからこそ一度導入向けの教科書を通読するのをおすすめしたいというのもあります。
この本に関しては、過去問をよく見て試験に出る部分を重点的に勉強するのがおすすめです。
細胞の分子生物学
Essentialの要約前の本です。
管理人も1年生のころのやる気に任せ購入してしまった1冊。
細胞生物学の勉強が好きだったので購入した事自体は後悔していません。
が、ここを追求していくなら、医学の勉強を少し先取りするのもありだったと思っています。(現在6年生)
細胞生物学の勉強がすきならお勧めの1冊です。
医学の勉強を先取りしたいなら、次に紹介する人体の正常構造と機能をおすすめします。
6年間のスタートダッシュに医学の先取り教科書
かなりの長期戦となる医学部6年間の勉強において、1年生の最初の時期というのはかなり時間のある時期です。
この時期を勉強に使いたいというのであれば、臨床医学にも役立つ教科書を読んでおくことは有効です。
もちろん、時間のあるうちに遊んでおくというのも立派な選択肢であると思います。管理人としてもおすすめです。
ただ、暇すぎて寝ているというよりは勉強していたほうが、後々の勉強効率がよくなり結果として高学年になってからの勉強時間が短く済むという考え方もあると思います。
ここでは、医学を先取りできる教科書も紹介しておきます。
人体の正常構造と機能
管理人の最もおすすめの教科書です。
基礎医学の部分を過不足なく網羅しています。
医師国家試験にも基礎医学の知識は必要で、基礎医学の復習の際によく利用しているのがこの教科書です。
この教科書のおすすめな点は、管理人のメインサイトの方で記事にしています。
https://digista.net/2017/12/07/おすすめの教科書:人体の正常構造と機能のレビ/
休み時間の〜シリーズ
そんなにページ数がなく、内容も易しくわかりやすく記載されているのでなんとなく読める1冊です。
気軽に概要を把握できるので、先取りの予習として使うにも最適なシリーズです。
▼初学者に分かりにくい免疫学なんていかがでしょうか?
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