医学生の循環器の教科書選び方:暗記に頼らなくて済む数少ない科目
医学生にとって循環器は暗記に頼らず理論的に知識を導くことのできる分野です。
病態をしっかり把握して置けば暗記量を大幅に減らすことが可能なので、しっかり理解したいところです。
一度理解しておけば暗記に頼らなくとも答えを導き出せる問題の多い循環器は国家試験の勉強でも貴重な科目です。
実習などで時間のなくなる前に、しっかり理解して後々の得点源にしていってください。
教科書の選び方としては病気がみえるなどの図表系の教科書の前に、文章系の教科書に目を通しておくのがおすすめです。
病気がみえるだけでは理解した気になっているだけになる可能性もあります。
循環器の問題は国家試験レベルでもそんなに難しくないのでQBなどの問題で演習するのもおすすめです。
定期試験の場合にはしっかり過去問を自分の力で解くなどアウトプットに力を入れると良いと思います。

筆者のおすすめの教科書
文章系の教科書(Stepや病態生理できった)ベースで病気がみえるなどの図表系の教科書で検査方法などを確認→問題演習多めでアウトプット重視で勉強がおすすめです。
ちなみに集中して循環器を勉強していると弁膜症と雑音の組み合わせなどの知識は1対1で覚えてしまいますが、他の科目勉強しているうちに忘れてしまうので単純暗記ではなく導き出せるようにしておいほうが後々役に立ちます。
循環器内科の勉強に役立つサイトの紹介
循環器内科の勉強において役に立ちそうなサイトをまとめておきます。
信頼性の観点から、個人のサイトは紹介しません。
循環器学会ページ
循環器学会のページでは循環器のガイドラインを全てみることができます。
PDF形式でのダウンロードも可能です。
ガイドラインは難しいものと思いきや、その疾患の背景や新しい基準ができた理由についても書かれているので分かりやすかったりします。
診療科によっては購入しないと読めないガイドラインが全てダウンロード可能というのはありがたいことですね。

一通りダウンロードしてiPadでいつでも見れるようにするというのもおすすめです。
iPadでPDFを読むならPDF ExpertかGoodnotesがおすすめです。
以下の兄弟サイトで解説しています。


ちなみにiPad上のブラウザで表示したPDFを端末内のアプリに取り込む方法は以下のページで説明してあります。

国立循環器病研究センター 循環器情報サービス
こちらも公的機関のサイトです。
一般の方向けの説明ですが、わかりやすくかなりおもしろい!
本として出版すればかなり売れるのではないかと思うほどのクオリティです。
休憩時間にでも読んでみると勉強になると思います。
▼循環器病あれこれ
一般の方向けの説明なので初学者にも分かりやすいページです。
循環器の勉強を行う前に一度読んでみてはいかがでしょうか?
▼循環器病気について
糖尿病や慢性腎不全から始まり、不整脈、虚血心疾患まで絵や表をふんだんに用いて解説されてます。
ちょっとした教科書よりも分かりやすい説はあります。
上記ページからの引用です。
【導入レベル】
まるごと図解 循環器疾患
イメカラ
病気がみえるのメディックメディアからの出版です。より生理学寄りの教科書になっています。
ハート先生の心不全講座

看護師さん向けの教科書。心不全の概念・検査・治療について絵を中心にまとめてくれています。心不全は意外に理解が難しく、検査や治療も初学者には難しいため最初にこの本を読んでおくと一気に理解しやすくなるのではないかと思います。
ページ数も少なく、1時間程度で全体を把握できるのもメリットです。
(レビュー時:医学科6年)
【医学生レベルわかりやすさ重視】
病気がみえる
有名な病気がみえるシリーズの循環器版です。
大幅な改定が2017年にありました。
先輩からもらった人も買い直すに値する改定です。
内容がより詳しくなり、心音をWebページで聞けるようになったりと工夫されています。
値段も安いのでとりあえず買っておくべき一冊です。
国家試験のオンライン問題演習をQB onlineで行う予定であれ全科目まとめてデジタル版で購入しておくのも1手です。
図表が多いのがメリットのこの教科書ですが、循環器は理解が重要なので最初はこの本だけでは分かりにくい人もいるかもしれません。
最初の理解には文章系(病態生理で切った・Step)の教科書をオススメします。
ビジュアルブック

病気がみえるとよく似たコンセプトの書籍です。病気がみえるは良くも悪くも絵を中心とした説明になっていますが、こちらは必要な箇所には図配置したという感じで病態などの解説は文章によるものが中心となっている。内容は意外に詳しく、病気がみえるよりも医学生を意識した作りであることを感じました。より臨床的で薬剤の具体的な分量や疾患の分類などが詳しいです。主要症候のページでは各主訴から疑うべき疾患や問診のポイント、「患者の訴え方から疑うべき疾患」といった項目もあり実習の段階でも役に立ちそうです。(レビュー時:医学科6年)
STEP

文章でわかりやすく解説してくれる教科書といてばStepというイメージの本です。
最近はあまり改定がないのが気にかる点ですが、そもそも基本的なところの解説が多いので、改定がなくてもあまり困らない部類の教科書でもあります。
下で紹介している病態生理できったよりも少し細かいところまで解説してくれています。
最初に勉強するときにより分かりやすいのが病態生理で切った、その後調べ物をするのに役に立ったがStepという印象です。
StepにはM2plusから電子版のセットが販売されています。
筆者はコチラを購入しました。
調べ物には便利です。
が、書き込めないのでやはり自分でスキャンして電子化すればよかったと思っています。
医師になってからも使うかと言われればそんなこともない本なので、時間のない人はM2 plusの電子版で購入するのはおすすめです。
セットで結構割引があるのでセットで購入してしまうのがいいと思います。
M2 plusのアプリでは購入したアプリが一気にまとめて検索可能なので、セットで購入したほうが調べ物には便利です。
病態生理できった

個人的に結構お気に入りのシリーズの1冊です。循環器を最初に勉強するときに使用しました。循環器はゴリゴリ暗記というよりは病態生理がかなり使える分野なので理由を理解すると勉強するのがかなり楽になります。
その意味で最初に勉強するには、できるだけ病態生理を元に解説してくれる本書は大変役に立つ教科書でした。分量的にも十分通読が可能な量で文章もかなり優しく書いてあるので初学者にオススメです。
シンプル循環器学
iMedicine
【医学生レベル内容しっかり】
カラー版循環器学
【医師国家試験対策】
レビューブック メジャー


レビューブックは要点が赤の穴埋めになっているので、自分でチェックするのに便利です。
管理人はCBT前に重宝しました。
yearnote


調べ物の代表yearnoteです。循環器ではあまり使う機会がなかったですが、他の科目も含め持っていると便利です。
国家試験に出た知識が青色で書いてあるので管理人は新しい知識が国家試験レベルであるかどうかの判定に使ったりしています。
QB 医師国家試験
内科一般成書
ハリソン・内科学書(中山)・朝倉内科学
ハリソン内科学

内科学書

朝倉内科学


自分も含めて医師国家試験に向けた効率化を重視する風潮の強い医学生が増えていると感じますが、朝倉の内科学で調べ物をしてみた際に驚いたことがあります。内科学の成書では疾患ごとの解説ページを調べることが多いのですが、実は主要病態を解説したページや解剖生理学を解説したページがかなり充実していたのです。朝倉の内科学の循環器で特に便利だと感じたのが、主要病態の項目や薬物の作用機序が記載されている項目でした。基礎医学を勉強し、臨床医学を一通り習い国家試験に向けての問題集を解き進めていくと暗記が中心となり、基礎医学との関連を意識する機会は減るばかりの状況でした。せっかく詳細に勉強した(試験によってさせられた?)生理学や薬理学の知識はあまり活躍しないで国家試験に向けて暗記を行っていた管理人ですが、朝倉内科学の循環器の主要病態などのページを読んでいると低学年で勉強した内容が一気に頭に帰ってくるようでした。基礎医学的な内容ではありますが、臨床的に重要な部分が集中して書かれているように感じます。これを機会にこの本を読んで医学部を卒業する前に今まで勉強した知識をつなげていこうと思いました。
ちなみに、循環器を最初に勉強する段階でこの教科書を読むと結構難しく感じると思うので大体の勉強を完了した後に読むと知識が整理されるような気がします。
ほとんどの医学生のみなさんは管理人より頭がいいと思うので、この限りではないと思いますが。。。
臨床的医学書
極論で語る循環器内科
循環器内科ゴールデンハンドブック
研修医・循環器内科シニアレベル必携バイブルの待望の改訂第4版.循環器内科の日常診療において,知っておかなければならない疾患とその対処法,検査手技,治療手技,各種薬剤までを白衣のポケットに入るコンパクトサイズにまとめている.今版では進歩の著しいインターベンション治療を中心に,structural heart diseaseや肺高血圧症の診療に関して項目を充実させるなど,最新情報にアップデートの上,さらにパワーアップした内容とした.
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